「なんか最近胸のあたりが痛むな…」と感じたことはありませんか?
それは、中性脂肪やコレステロールの摂り過ぎによって起こる狭心症の症状かもしれません。

狭心症を放っておくと心筋梗塞につながり、最悪の場合死に至るケースも。

そのため異変を感じたら早めに病院で診察を受けましょう。
狭心症は、治療をすればきちんと治すことができる病気です。

ここでは、狭心症や心筋梗塞について詳しく書いていきます。

>>目次
1. 狭心症・心筋梗塞とは
– 狭心症は、心臓に血液が届きにくくなる病気
– 心筋梗塞になると、心臓に血液が全く届かなくなる

2. 狭心症・心筋梗塞の原因は?

3. 狭心症・心筋梗塞の症状について
– 胸が苦しくなったら、狭心症の前兆かも
– 心筋梗塞になると、死に至る危険性があります

4. 狭心症・心筋梗塞の種類
– 狭心症の4つの種類
– 心筋梗塞の2つの種類

5. 狭心症・心筋梗塞ではどのような検査をするの?
– 冠動脈造影検査
– 心電図検査

6. 狭心症・心筋梗塞の知っておきたい4つの予防法

7. 狭心症・心筋梗塞に効果的な治療法
– 狭心症の3つの治療法
– 心筋梗塞の2つの治療法

8. 狭心症・心筋梗塞にはどんな後遺症があるの?
– 狭心症になると、心筋梗塞になりやすい
– 心筋梗塞になると、心臓がうまく働かなくなる

狭心症・心筋梗塞とは

狭心症は、心臓に血液が届きにくくなる病気

狭心症とは、心筋(心臓を動かす筋肉)に酸素を含む血液が少ししか行き渡らなくなることです。

心筋に酸素を送っているのは、冠動脈という血管です。
この冠動脈が狭くなることで、酸素が十分に運ばれずに、狭心症になってしまうのです。

心筋梗塞になると、心臓に血液が全く届かなくなる

心筋梗塞とは、冠動脈から酸素を含む血液が全く届かなくなり、心筋が壊死(組織が死ぬこと)する病気です。

冠動脈が狭くなったことに加えて、血栓というかさぶたのようなものができると、心臓への血流が完全にストップします。
これにより心筋に酸素が届かなくなり、心筋の壊死を招いてしまいます。

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狭心症・心筋梗塞の原因は?

狭心症・心筋梗塞の原因は、中性脂肪やコレステロールの血中での増加にあります。
中性脂肪やコレステロールが血液中に多いと、動脈硬化を引き起こします。

動脈硬化になると血管が硬くなり、血流が悪くなります。
そのため、血管が詰まりやすくなります。

また中性脂肪やコレステロールは、血管の内側にアテロームという脂肪の塊を作ります。
こうして血管が狭くなり、狭心症につながってしまうのです。

さらにアテロームが大きくなりすぎて破れると、そこを埋めるようにかさぶたができます。
これが血栓です。

血栓は狭くなった血管をさらに狭く、最悪の場合は完全に血管をふさいでしまいます。
そして、心筋梗塞を招いてしまうのです。

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狭心症・心筋梗塞の症状について

胸が苦しくなったら、狭心症の前兆かも

狭心症の前兆は、階段を駆け上がるなどの激しい運動をしたとき現れます。

まず狭心症になると、心筋が酸素不足になっているため心臓の動きが悪くなっています。
そのため運動後に急に胸が苦しくなったり、締め付けられるような感覚になったりします。

狭心症のこれらの症状は、安静にしていればそのうち治ります。
しかし、これを繰り返すうちに症状が長く続くようになることもあります。

心筋梗塞になると、死に至る危険性があります

心筋梗塞になると胸に激痛が走り、時間が経過するとともに心筋の壊死範囲がどんどん広がっていきます。
痛みは胸だけでなく、肩やみぞおちの場合も。

時間の経過とともに心筋がどんどん壊死していくため、最悪の場合死に至る場合もあります。
また、助かったとしても後遺症が残る可能性が高いです。

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狭心症・心筋梗塞の種類

狭心症の4つの種類

狭心症には以下の4つの種類があります。

  • 労作性狭心症
  • 冠攣縮性狭心症
  • 微小血管狭心症
  • 不安定狭心症

労作性狭心症

労作性狭心症とは、何か運動をしたときに発作が起こる狭心症のことです。
「階段を駆け上がったら胸が苦しくなった」というような症状は労作性狭心症に当てはまります。

冠攣縮性狭心症

冠攣縮性狭心症は、安静時狭心症や異型狭心症とも言われます。
「安静時」狭心症と言われるように、激しい運動をしていなくても胸が苦しくなる狭心症です。

冠攣縮性狭心症の特徴は、瞬間的に冠動脈が痙攣することで起こる点です。
そのため、日ごろの心電図検査ではあまり見つかりません。

微小血管狭心症

微小血管狭心症は、心筋内の小さな血管に異常が起こる病気です。
これは中高年女性によく見られます。

微小血管狭心症は労作性・冠攣縮性狭心症と異なり、胸以外の箇所に違和感を感じます。
具体的には、「背中やあごが痛む」「吐き気がする」といったことが症状として挙げられます。

また心筋内の小さな血管で異常が起こることから、精密検査をしても異常が発見されにくいことが特徴です。

不安定狭心症

狭心症には、安定狭心症と不安定狭心症があります。

安定狭心症とは「階段を10段駆け上がると胸が苦しくなる」のように、発作が起きる条件が一定である場合の狭心症です。
安定狭心症の人は、生活の仕方を見直したり薬を服用することで、日常生活を問題なく送ることができます。

一方不安定狭心症とは、「今まで5階まで階段を上ることができていたのに、1階で胸が苦しくなるようになった」というような発作の条件を予測できない狭心症のことです。

この場合は心筋梗塞になってしまう可能性もあるため、入院による治療が必要になります。

心筋梗塞の2つの種類

心筋梗塞には、

  • 急性心筋梗塞
  • 陳旧性心筋梗塞

の2つの種類があります。

急性心筋梗塞

急性心筋梗塞は、冠動脈内に血栓が突然作られることで起こります。
血栓によって血流が遮断されてしまい、心筋に酸素が届かなくなることで、心筋が壊死してしまいます。

心筋が壊死して心臓が動かなくなることを、心停止といいます。
心停止は、死と隣り合わせの危険な状態です。

心停止の状態から心肺蘇生法をするまでの時間が5分以上かかると、死亡率は50%以上になるそうです。

陳旧性心筋梗塞

陳旧性心筋梗塞とは、急性心筋梗塞から回復した後の状態のことです。

「心筋梗塞から回復した」といっても、壊死した心筋が元に戻ることはないので、心臓の機能が低下している状態と言えます。
心臓の機能が低下しているので、運動を制限しなければなりません。

また陳旧性心筋梗塞の患者は、再度心筋梗塞を発症する危険性も高いです。

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狭心症・心筋梗塞ではどのような検査をするの?

冠動脈造影検査

冠動脈造影検査では、カテーテルという血管よりも細い管を用います

このカテーテルを心臓の血管内に送り込み、そこから特殊な液体を注入。
その後X線などで撮影すると、冠動脈の状況を把握することができます。

心電図検査

心電図検査は、心臓の電気的な活動を読み取る検査です。
この検査により、心臓がきちんと動いているかどうかを調べます。

心筋梗塞の場合は心筋が壊死しているため、心臓の動きの変化が分かりやすく調べやすいです。
しかし狭心症の場合は発作が起きるまで正常に心臓が動いているため、異常を発見することがかなり難しいと言えます。

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狭心症・心筋梗塞の知っておきたい4つの予防法

狭心症も心筋梗塞も、「なってしまってから治す」のではなく、「そもそもならない」ことが大切です。
そのためには、以下のようなきちんとした予防をしなければなりません。

  • 禁煙
  • 食事の改善
  • 生活習慣の改善
  • 健康診断を定期的に受ける

禁煙や食事、生活習慣の改善は、狭心症・心筋梗塞の予防に不可欠です。

そもそも狭心症や心筋梗塞の原因は、動脈硬化にあります。
動脈硬化にならないためには、中性脂肪やコレステロールの多い食事をしないことや、適度な運動をすることが重要です。

また、健康診断は定期的に行いましょう。
心臓の状態を調べるだけでなく、中性脂肪値やコレステロール値を測るのも大事です。

狭心症や心筋梗塞は命にかかわる病気なので、日頃から注意しましょう。

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狭心症・心筋梗塞に効果的な治療法

狭心症の3つの治療法

狭心症の治療には、以下の3つの方法があります。

  • 硝酸薬の投与
  • 冠動脈形成術
  • 冠動脈バイパス術

硝酸薬

硝酸薬には、ニトログリセリンや硝酸イソソルビドが挙げられます。
硝酸薬は錠剤やスプレーになっていて、舌の裏につけると粘膜から吸収されます。

粘膜から吸収された硝酸薬は、狭くなった冠動脈を広げて血流を良くしてくれます。
それにより、狭心症特有の胸が締め付けられるような痛みが数分でなくなります。

冠動脈形成術

冠動脈形成術とは、先ほども触れたカテーテルによる手術です。

まず、カテーテルに風船を着けて冠動脈まで挿入します。
そして冠動脈の狭くなっている部位に到達したら、風船を膨らませます。

これにより狭くなった冠動脈を広げ、心臓への血流を良くします。

また風船でうまく血管が広がらないときは、ステントという特殊な合金でできた筒で血管を内側から補強することもあります。

冠動脈バイパス術

冠動脈バイパス手術は、冠動脈から新しく心臓につながる血管を作る手術です。
先ほどのカテーテルによる治療ができない場合、こちらの冠動脈バイパス手術をします。

冠動脈バイパス手術では、足や腕の血管を取り出してそれを使って冠動脈と心臓をつなぎ、冠動脈から心臓へ新しい血液の流れを作ります。
こうして血流が悪くなった冠動脈をそのままに、心臓にしっかりと血液を送ることができるようになります。

心筋梗塞の2つの治療法

冠動脈形成術

狭心症の治療で触れた冠動脈形成術は、心筋梗塞の治療でも有効です。
血流が途絶えてしまった冠動脈に対しても、カテーテルを用いることでもう一度血流を再開させることができます。

「血栓溶解療法」

血栓溶解療法とは、組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)などのような血栓を溶かす薬を用いて行う治療です。
先ほど説明したように、心筋梗塞の大きな原因は血管内にできた血栓にあります。

そのため血栓を溶かすことで、血流を元に戻すことができます。

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狭心症・心筋梗塞にはどんな後遺症があるの?

狭心症になると、心筋梗塞になりやすい

狭心症については、後遺症はありません。
ただし狭心症になっているということは、動脈硬化が進行しているということです。

そのため、心筋梗塞になる可能性が高まっていると言えます。

心筋梗塞になると、心臓がうまく働かなくなる

心筋梗塞に一度なると、心臓の組織の一部が壊死してしまっています。
そのため、心臓の一部が動けない状態に。

すると、心臓がうまく血液を送り出せなくなってしまいます。
これを心不全と呼びます。

心不全になると常に息苦しくなり、入院が必要になる場合もあります。

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