内臓脂肪の増加は、メタボリックシンドロームを引き起こすことで有名です。
しかし実はそれだけでなく、痛風という病気の原因にもなるのです。
ここで、「内臓脂肪やメタボと、痛風はどんな関係があるの?」という疑問が生まれますよね。
この記事では、痛風とメタボリックシンドローム、内臓脂肪の関係について書いていきます。
痛風とは
痛風とは、「風が吹いただけでも痛い」と言われるほどの激痛を伴う病気です。
激痛は主に足の親指の付け根に起こり、歩けなくなるほどです。
痛風はメタボリックシンドロームとも関係が深いため、痛風になってしまったら生活習慣を見直す必要があります。
痛風の原因と内臓脂肪
痛風は、メタボリックシンドロームの人に起こりやすい病気です。
なぜなら、内臓脂肪が溜まることによって痛風が引き起こされるからです。
ここでは、そのメカニズムについて解説します。
尿酸の結晶が痛風の痛みを引き起こす
まず、痛風は尿酸値が高いことによって起こります。
尿酸とは、DNAやエネルギー源となる物質が分解されてできた老廃物です。
この尿酸が血液中にどのくらいの割合で含まれているかという値が、尿酸値。
検査で尿酸値が7mg/dl以上だと、高尿酸血症と診断されます。
この状態が長く続くと、尿酸が結晶となって関節に溜まってしまいます。
この溜まった尿酸の結晶が関節に攻撃することで、痛みが生じてしまうのです。
プリン体が尿酸の原料に
では、尿酸値はどのように高くなってしまうのでしょうか?
そこには、プリン体という物質が関わってきます。
プリン体という言葉は、最近ビールのCMでよく聞きますね。
このプリン体は、ビールだけでなくモツや白子などつまみとなる食べ物にも多く含まれています。
実は、プリン体は尿酸の材料です。
そのため、これらの食品を多く摂取すると尿酸値が高くなってしまうのです。
痛風と内臓脂肪の関係
では、痛風と内臓脂肪にはどのような関係があるのでしょうか。
メタボリックシンドロームの人は、内臓脂肪がたくさん溜まっています。
すると内臓脂肪がたまっていることにより、インスリンというホルモンの働きが弱くなります。
インスリンには、尿酸の排泄を促す働きがあります。
そのため内臓脂肪の増加によってインスリンの働きが弱まると、尿酸がどんどん体内に溜まってしまいます。
こうしてメタボリックシンドロームによって尿酸値が上がり、痛風につながってしまうのです。
痛風の症状はどのくらいの痛みなの?
痛風の痛みは、多くの場合足の親指の付け根に起こります。
ただし、他にも足の甲やくるぶし、手首、肩などいろいろな箇所で痛みが起こる場合もあります。
この痛みはとても強く、歩くことができないばかりか体を動かすこともできない場合もあります。
痛みが治まるまでには1週間程度かかります。
また、痛みが治まったからといって油断してはいけません。
そのまま放っておくと痛みは再発し、違う部位でも痛みを感じるようになります。
そして再発までの期間もだんだんと短くなっていきます。
痛風の検査で、内臓脂肪の多さもわかるかも
尿酸値を調べる検査は、血液検査で行われます。
実は、メタボリックシンドロームの検査項目には尿酸値は含まれていません。
しかし痛風の原因で触れたように、尿酸値が高い場合は内臓脂肪が多い可能性も高いです。
そのため尿酸値が高く出てしまったら、中性脂肪やコレステロールなどの検査項目にも注意し、メタボリックシンドロームに気を付けていくことが大切です。
痛風の予防は、メタボ対策にも
痛風の予防のためには、メタボリックシンドロームの予防と同じく食事と運動の改善が必要です。
つまり痛風予防のための対策は、そのままメタボ対策にもなるのです。
痛風に良い食事、知っておきたい4つのポイント
痛風予防のための食事のポイントは以下の4点です。
- 自分の体に合ったエネルギー摂取
- プリン体の摂取を控える
- 飲酒を控える
- 水をしっかりと飲む
まずはメタボリックシンドロームの予防と同様に、過食を控えなければなりません。
ただし朝昼晩と3食をきちっと摂ったうえで、適正カロリー量に抑えましょう。
次に、尿酸の原料となるプリン体の摂取を控えましょう。
プリン体はモツや白子などの動物の内臓の他に、肉汁にも多く含まれています。
さらに、飲酒は控えるようにしましょう。
アルコール飲料にはプリン体が含まれているだけでなく、尿酸を体外に排泄するのを抑制する作用もあります。
また、水分を多く摂取することも大切です。
水分を多く摂ることで尿の量を増やし、尿酸の排泄を促します。
注意するのは、ジュースやアルコールなどではなくしっかりと水で水分を補給することです。
なぜならジュースは肥満につながり、アルコールにはプリン体が含まれているからです。
有酸素運動は痛風だけでなく内臓脂肪の燃焼にも効果的
痛風対策の運動としては、ストレッチやウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。
酸素をしっかりと取り込みながらの運動は、尿酸値を下げるだけでなく内臓脂肪の燃焼にもつながります。
逆に短距離走などの無酸素運動では、尿酸の合成が促進されてしまうため尿酸値の上昇を招きます。
そのため軽い有酸素運動を継続的に行うことが、痛風対策に効果的といえます。
痛風の治療には、2種類の薬が使われる
痛風の薬には、大きく分けて以下の2種類あります。
- 痛風の痛みを止めるための薬
- 痛風の原因となる尿酸値を下げるための薬
痛風の痛みを止めるための薬
痛風の痛みを止めるための薬としては、非ステロイド系抗炎症剤やコルヒチンが挙げられます。
これらの薬は痛みの程度によって使い分けないと副作用の恐れがあります。
そのため服用をするときは医師としっかり相談しましょう。
痛風の原因となる尿酸値を下げるための薬
尿酸値を下げるための薬としては、アロプリノールやフェブキソスタットなどが挙げられます。
これらの薬には、体内に溜まった尿酸自体の量を減らす働きや腎臓の尿酸排泄を促す働きがあります。
そして尿酸値を下げる薬は、ほとんどの場合長期間服用する必要があります。
そのため痛みを止める薬同様、医師と相談して適切な量を服用する必要があります。
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