中性脂肪やコレステロールを過剰に摂取すると、高血圧になる可能性があります。

一般には単純に「高血圧」と呼ばれている高血圧症。
血圧が高い状態にあることを表す生活習慣病の1つです。
「血圧が高いとなぜ良くないの?」と思う人もいるかもしれません。

高血圧症になると、動脈硬化になるリスクが高まるのです。
ここでは、高血圧症とはどういうものかについて説明していきます。

>>目次
1.高血圧症とは
1-1.血圧って何?
1-2.高血圧症の症状・合併症
2.中性脂肪やコレステロールが多いと、高血圧になりやすい
3.高血圧症の診断基準
4.仮面高血圧症|病院での検査による数値が正しいとは限らない
4-1.早朝高血圧症
4-2.白衣高血圧症
5.高血圧症の2つの原因
5-2.本態性高血圧の2つの要因
5-2.二次性高血圧症

6.高血圧症はどのように治療するの?
6-1.高血圧症の治療は、運動や食事の改善から
6-2.投薬治療は最後の砦

1.高血圧症とは

高血圧症は、一般に「血圧が規定値以上になっている状態」の生活習慣病です。

また、「高血圧」と「高血圧症」にはほとんど差はありません。
強いて言うなら、「高血圧」が血圧が高い「状態」で、
「高血圧症」は血圧が高い状態が症状の「生活習慣病」になります。

そのため、世間一般では高血圧と呼ばれることが多いですが、正式名称は高血圧症といいます。
そのため、学術記事やガイドラインでは「高血圧症」という名称の方が良く見かけますね。

1-1.血圧って何?

血圧とは、血液が血管の壁を内側から押す力のことです。

例えばホースを使って水を撒くときに、水を勢いよくたくさん流すと、ホースはパンパンに張って硬くなりますよね。
また泥水のようにドロドロとしたものをホースに通しても、ホースが硬くなってしまいます。

これと同じことが血管でも起こります。

つまり高血圧の人は血液が大量に流れていたり、血液がドロドロになっていたりするのです。

1-2.高血圧症の症状・合併症

高血圧症になると、命にかかわる危険性があります。
なぜなら高血圧は動脈硬化の原因になったり、動脈硬化を促進したりするからです。

高血圧症の人の血管では、血液が血管に強い圧力をかけています。
そのため、血管内の壁が傷つきやすくなっています。

その血管内の傷に悪玉コレステロールが入り込むことで、動脈硬化の原因になります。
そして動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞などの命にかかわる病気につながります。

こうして高血圧症は、脳卒中や心筋梗塞などの合併症を引き起こすのです。

だから、血圧管理はしっかりとしなければいけません。

目次へ戻る

2.中性脂肪やコレステロールが多いと、高血圧になりやすい

中性脂肪が血液中に多いと、血液がドロドロになってしまいます。
またコレステロールが血液中にたまると、動脈硬化になって血管が硬くもろくなります。

どろどろの血液を古くなった血管に流すためには、心臓がより強く血液を送り出す必要があります。
そうすると血液が血管に与える力が強くなり、血圧が上昇するのです。

そして高血圧になると、血流によって血管が傷つきやすくなり、今度は動脈硬化を促進します。
こうして、高血圧と動脈硬化が互いに進行する悪循環に陥ってしまうのです。

目次へ戻る

3.高血圧症の診断基準

血圧を測ったとき、最高血圧(収縮期血圧)と最低血圧(拡張期血圧)に注目してください。

最高血圧
(収縮期血圧)
最低血圧
(拡張期血圧)
高血圧症 140㎜Hg以上 または 90㎜Hg以上
メタボリックシンドロームの危険性 130~140㎜Hg未満 または 85~90mmHg未満
基準値 130㎜Hg未満 かつ 85㎜Hg未満

注意する点は、上の表の「または」と「かつ」です。

高血圧症と診断されるのは、最高血圧か最低血圧のどちらか片方でも上回った場合です。
メタボリックシンドロームの危険性があるのは、最高血圧か最低血圧のどちらかが上記の範囲にある時です。
逆に基準値であるためには、最高血圧と最低血圧の両方が基準値内になくてはなりません。

目次へ戻る

4.仮面高血圧症|病院での検査による数値が正しいとは限らない

仮面高血圧症とは、病院での検査だけでは判断できない高血圧のことを言います。

例えば普段は高血圧なのに、検査の時はそれほど高い数値を出さない人がいます。
逆に、検査の時だけ高血圧になってしまう人もいます。

このような場合を、仮面高血圧と言います。
仮面高血圧の人は、改めて時間を変えて測ったり、自分で測ってみたりすることが大切です。

4-1.早朝高血圧症

早朝高血圧症の人は、普段は血圧が正常値なのに、起床直後に血圧が急上昇する人です。
早朝にだけ血圧が上がるため、病院での検査ではわかりにくいです。

そのため自分で朝早くに血圧を測り、早く高血圧を発見する必要があります。

4-2.白衣高血圧症

白衣高血圧症の人は、白衣を着た人を目の前にすると緊張してしまい、検査時に血圧が高くなってしまいます。
そのため、本当は高血圧症ではないのに高血圧症と診断されてしまいます。

ですから白衣の人を目の前にすると緊張してしまう人は、自分で測ってみることをおすすめします。

目次へ戻る

5.高血圧症の2つの原因

高血圧症は、その原因から2つに分けられます。
1つは本態性高血圧症、もう1つは二次性高血圧症です。

この2つの違いは、病気による高血圧かそうではないかの違いです。

本態性高血圧症は、食事・運動などの生活習慣やたばこの吸いすぎなど、様々な原因によって引き起こされる高血圧です。
一方二次性高血圧症は、なにか別の病気によって二次的に引き起こされる高血圧です。

5-1.本態性高血圧の2つの要因

本態性高血圧症は、高血圧症の約9割を占めます。
本態性高血圧症における原因は、特定できていません。

なぜなら多くの要因が絡み合っているからです。
ただし、大きく分けて2つの要因があると考えられています。

塩分の摂りすぎによる水分の過剰摂取

塩辛いものを多く食べると、のどが渇きますよね?
そのため、水分を多量に摂取します。

そうすると、血管内の水分である血液の量も増えます。
血液の量が増えれば、その分血液が血管の壁を強く押すことになるので、血圧が上がります。

たばこは血管を細くする

たばこには、血管を細くする作用があります。
また塩分の摂りすぎも、血管を細くする原因になります。

流れている血液の量が同じまま血管が細くなれば、血液は血管を押し広げようとします。
そうして、血圧が上がるのです。

5-2.二次性高血圧症

二次性高血圧症とは、他の病気によって血圧が上がることです。
高血圧症患者の残り約10%がこの二次性高血圧症によるものです。

例えば心臓が何らかの疾患を抱えていて、必要以上に血液を送り出すようになれば、その分血圧は上がってしまいます。

このように、血流に何らかの影響を与える疾患によって血圧が上がることを、二次性高血圧症と言います。

目次へ戻る

6.高血圧症はどのように治療するの?

6-1.高血圧症の治療は、運動や食事の改善から

高血圧の治療はまず、運動や食事の見直しによって行われます。

運動をすることで血液が流れやすくなり、心臓の負担を少なくすることができます。

また食事では、カリウムやマグネシウムを多く摂ることで、血液を下げることができます。
さらに、塩分を減らすことで水分の過剰摂取も抑えます。

6-2.投薬治療は最後の砦

以上の対策を行っても効果が出なかった場合に、薬による治療を行います。
このとき使われる血液を下げるための薬を、降圧薬と言います。

降圧薬は長期間にわたって服用する必要があるため、服用するときには慎重な判断が必要です。
医師とじっくり相談してから服用するようにしましょう。

目次へ戻る