中性脂肪とコレステロール値が高いと動脈硬化を引き起こし、様々な病気の原因になっているのは最近ではよく知られるようになってきました。
例えば脳梗塞・脳出血・心筋梗塞・腎不全・大動脈瘤破裂・脂肪肝などです。

中性脂肪・コレステロール値が高いと、今後の血圧と血糖値が上昇するリスクが高くなります。
中性脂肪値とコレステロール値の上昇は、自覚症状はほとんどなく、気付きにくいのが特徴です。
遺伝的に数値が高い方もいらっしゃいますが、ひとつの指標である腹部が85センチ以上の、いわゆる「メタボ」の解消について取り上げたいと思います。

中性脂肪値とコレステロール値を改善させるのに大切なことは『継続させること』です。
継続するのに大切なことは身体を慣らしていくことであり、それには「安全」と「効率」が必要です。
どちらが欠けても、継続するのはなかなか難しくなります。


1324500168【専門家紹介】
渡邊 亜紀子 ワタナベ アキコ
(東京都 / スポーツトレーナー)

施術経験を積み、2013年自由が丘にスウェディッシュマッサージサロン『Lycka till』をオープン。
運動が苦手な方や明日も仕事に頑張りたい方のサロンをコンセプトに、スウェディッシュマッサージとPNFテクニックを混合させた運動療法を提供。
自身の難病経験を活かし、難病の方のための身体ケアの相談も受け付けている。


安全に身体を慣らしましょう

急な筋トレはNG!

生活習慣病の予防のために策定されたメタボの基準ですが、よく「腹囲」が基準として取り上げられます。
『腹囲=お腹まわり=腹筋または体幹を鍛える』と思われがちです。
もちろん、メタボ対策として、腹筋や体幹を鍛えることは大切ですが、その前に気をつけなければならないことがあります。

最初から腹筋を頑張るのは、中性脂肪・コレステロール値を下げるのに安全面と効率性という観点から適切とはいえません。
最初から頑張りすぎてはいけない理由があります。

人間の身体は、一方に力がかかると、片方で調整してバランスを取ろうとします。
今の状態でバランスが取れるように身体は作られているのです。

それを、急に腹筋などの運動で不可をかけてしまうと、バランスを崩してしまい、身体を傷める可能性があります。
特に内臓脂肪が多い方の場合は、腰部に負担がかかっているケースが非常に多く、更に腹部に負荷をかけると、腰を傷めてしまうこともあります。

また、急な運動で変な風に力が入ってしまったり、間違った方法でトレーニングをすると思わぬ箇所に痛みを感じたりします。
「腹筋をしたら首が痛くなった」という方はその典型的な例と言えるでしょう。

筋肉だけでなく、筋膜、皮膚も痛みを感じるのです

筋肉だけでなく、最近話題になっている「筋膜」も身体のバランスをとっています。
肩こりは筋膜を緩めてあげないと、すぐ元に戻ってしまうという例を聞いたことはありませんか?
それと同じように筋膜も緩めてあげないと、バランスをとろうとする時に痛みを感じてしまいます。

また、筋肉、筋膜と同様に、皮膚も痛みを感じる器官です。
そうすると、「なんでこんなところが痛いんだろう?」ということが起きてしまいます。

「運動すると身体が痛くなる」というのは、運動が続かない原因のひとつ。
『運動しやすい身体をつくっていくこと』を順序よくしてあげる必要があります。

効率的に身体を慣らしましょう

中性脂肪値とコレステロール値を改善するための運動を継続させるには、安全性と共に「効率的であること」も重要になります。
どんなに頑張っても効果がでてくるまでに時間がかかり過ぎてはモチベーションが維持できませんよね。
すぐにリバウンドしてしまっては、元も子もありません。

効率的に行うにはためには、安全なことと同様に「順序」が大切です。
簡単なことを継続し、少し難しいことにチャレンジする。
それを継続し、また次のステップへ…ということを繰り返すことが効率的です。

身体を慣らしていくことが最も重要なのです。

また身体を作っていくという観点から、運動と食事療法という2つのことを同時に行う必要があります。
どちらかに偏ってしまうのは、逆に効率を下げてしまいます。
効果がありそうでもハードルが高すぎれば、日々の生活に負担となってしまい続きません。

逆に、簡単なことばかりですと効果がでてくるまで時間がかかってしまい、モチベーションが低下してしまい続きません。
中性脂肪とコレステロール値を減らす、という目標のためにバランスよく継続することをまず意識しましょう。